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Various Artists"Do You Know Grand Groove?"(P-Vine PCD-5293)1997

grandgroove01.jpg

"Do You Know~"は'97年に日本のPヴァインから発売されたコンピレイション。
選曲担当者のクレジットは無く、Pヴァインのスタッフが行ったものと思われます。
タイトルからもわかるように、これは'80年代アタマに数年間活動していた
オールドスクール系のレーベル、グランド・グルーヴからリリースされた12インチの
音源を網羅したコンピになります。

ライナーを担当しているのは荏開津広氏。当時、日本でこの辺の評を書くならまず
この人、という感じだったので妥当な人選なのですが、グランド~に関する情報は
(今と違って)殆ど無かったはずで、ライナーの前半はオールドスクール・ヒップホップ
全般に関する話(ピーター・ブラウンにも触れられています)、終盤に少しだけ
グランド・グルーヴ本体について語られています。

今ならいろいろと情報も出回っているので、今回はここここを参考にして
同レーベルについて書いてみたいと思います。

レーベル・オーナーのブラッド・オズボーンは'69年にブロンクスで「ブラザー・
レコード・アンド・オーディオ・デン」という店を開くところからスタート。
もともとは電気関係の修理請負をメインに行う店だったようですが、近くに
ジャマイカン・コミュニティがあったこと等もあり、レコードの販売、特に
R&Bとレゲエに特化した品揃えの店に変わっていきます。ニーズを察したブラッドは
ジャマイカやイギリスからの(レゲエの)輸入盤の取り扱いを始め、その頃は
「ブラッズ・レコード・デン」と名前を変えていた店は、他のレコード屋では
扱っていないレゲエの貴重盤が手に入る店としてNY中の評判になっていたとのこと。

BRADS.jpg


'71年にはブラッドの旧友で、リー・ペリーのアップセッターズを抜けてNYで
活動していたキーボード奏者のグレン・アダムスと共にクロックタワー・レコードを
設立。グレンとの繋がりからジャマイカのミュージシャン~ジョニー・クラーク、
ホレス・アンディ、リンヴァル・トンプソン等~がNYでショウを行う際のマネジメント的な
業務も行うようになり、更にレコード店が閉店した夜の時間帯には彼らをスタジオへ
連れていき独自のレコーディングも行うようになります。クロックタワーはもともとは
ジャマイカ盤のアメリカでのライセンス・リリースが主だったのですが、'70年代
終わりごろにはバレット兄弟の"The Sound Of Macka Dub"サイエンティストの
"Scientific Dub"
等の名作を原盤としてリリースするまでに成長、ロイド・バーンズ
ワッキーズ等と共に、NYからレゲエを広めていく役割を担っていきました。

'79年にブラッドはレコード店のR&B~ファンク部門の担当者としてタイロン・コックス
という男を雇います。タイロンは高校時代にクール・ハークの下でフライ・フォース・
MCズの名義で活動していたこともあり、当初から自分のレコードを出したいとブラッドに
訴えていたようですが、慎重なブラッドがなかなか首を縦に振らず、実現したのは
2年後のことでした。タイロンは「T-スキー・ヴァレー」というステージ・ネームを
付けられて、ターナ・ガードナーの「ハートビート」を元にしたトラックをバックに
ラップした曲をレコーディング、完成した曲は"Catch The Beat"というタイトルで
クロックタワー傘下に設立されたグランド・グルーヴ・レーベルから発売されます。
リリース当初はブロンクス周辺での小ヒットに留まっていたのですが、'83年ごろ
にミスター・マジックのラジオ番組でプレイされるようになってNY全体に広まり、
その後マルコム・マクラレンのアルバムでもジングルに使われて、私も知らずの
うちに耳にすることになるのでした…

このコンピは13曲入り。グランド~からリリースされた音源を(シングルB面の
インスト・ヴァージョンも含めて)網羅しています。Discogsにも登録されていない
ので裏ジャケの曲目スキャンも上げておきます。何故かいちばんのヒット曲
"Catch The Beat"のインスト版は入っていません。
grandgroove02.jpg
基本的には当時の他のレーベルのヒット曲と同じく、ディスコ/ファンク系の
有名曲のフレーズを弾き直した上にラップを乗せた「ディスコ・ラップ」スタイル。
元ネタはシェリル・リンの「ガット・トゥ・ビー・リアル」、トム・トム・クラブの
「ジーニアス・オブ・ラヴ」、シャラマーの「ナイト・トゥ・リメンバー」等
日本でもよく知られた曲が中心です。チャプター・スリーの"Smurf Trek"は
ヴォコーダー風の音処理がされた最初期のエレクトロといった音で曲も
オリジナルですが、ドラム・ブレイク後の終盤にヴォコーダーが唄っているのは
ダズ・バンドの"Let It Whip"のフレーズ…わかり易さが重視されていたんで
しょうかね。

グランド~はブラッドが'83年に暴漢に銃で撃たれて以降は活動が停滞し、
リリースも途絶えてしまいます。このレーベルに焦点を絞ったコンピは後にも先にも
これだけで、日本人としてはちょっと誇らしい一枚でした。



T-スキー・ヴァレー"Catch The Beat"




チャプター・スリー"Smurf Trek"




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No title

お久しぶりです。
このアルバム、アナログでしか持ってなく、CDで買えばよかったと後悔しています。
非常に短命なレーベルですが、オールドスクールの素晴らしさを持った素晴らしいレーベルだと思います。

No title

yoshiさん、お久しぶりです。

>オールドスクールの素晴らしさを持った
ほぼ全ての曲がわかりやすいネタ使いのパーティ・ラップですからね。
元がレコード屋なだけに、ウケる要素をよくわかっているのではないか
と思います。
プロフィール
クロい音楽全般が好きなのですが、 ここではエレクトロとオールド・スクールの アナログ盤に絞って紹介していきます。

KDMX

Author:KDMX

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